どうも、害虫害獣ナビゲーターのマモルです。奈良で暮らしながら、過去のGノイローゼ経験をバネに、今はイタチやハクビシンと戦う日々を送っています。
天井裏から聞こえる「タタタッ」という足音、不意に漂う強烈な悪臭。本当に気が滅入りますよね。「ハクビシンが嫌がるもの」を必死で検索されているその気持ち、痛いほどわかります。
僕も同じように、あらゆる「嫌がるもの」を調べ、試そうとしました。その経験からわかったのは、「嫌がるもの」には効果的な順番と、決定的な「限界」があるということです。
この記事では、読者さんと同じ「被害当事者」の目線で、ハクビシンが本当に嫌がるものは何なのか、そして、なぜそれだけでは解決しないのかを徹底的に解説します。
【結論】ハクビシンが嫌がるもの一覧と「匂い」が最強である理由
まず結論から。ハクビシン対策は、彼らの「優れた感覚」を刺激するのが基本です。特にハクビシンは「優れた嗅覚」を持っているため、対策の第一選択肢は「匂い」になります。
一方で、光や音による対策は、ハクビシンの「慣れ」によってすぐに効果が失われる可能性が高いんです。それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
まず試すべきは「嗅覚」への刺激
なぜ「匂い」が一番なのか? それは、ハクビシンが持つ感覚の中で「嗅覚」が突出して優れているからです。
彼らは夜行性で、エサを探したり、天敵を察知したり、仲間とのコミュニケーションをとったりするのに、この鋭い嗅覚をフル活用しています。だからこそ、この「嗅覚」を逆手にとって、強烈な不快感を与えることが追い出し(忌避)の最も有効な手段になるわけです。
ハクビシンが嫌がる匂いには、大きく分けて2つのタイプがあります。
ハクビシンが嫌がる匂いの種類
- 1. 刺激物(不快な匂い) ニンニクや唐辛子、ハッカ油など、嗅覚に「ツン!」とくる強烈な刺激を与えて不快にさせるタイプの匂いです。人間でいうと、いきなりワサビを嗅がされたような感じですね。
- 2. 本能的恐怖(危険な匂い) 天敵(オオカミ)の匂いや、山火事(木酢液)を連想させる匂いです。これは「不快」を通り越して、「ここにいたら死ぬかもしれない」という生命の危機を本能的に感じさせるタイプの匂いです。
当然、効果が高いのは後者の「本能的恐怖」を与える匂いです。これについては、次の章で詳しく解説しますね。
光(視覚)による対策と「慣れ」の早さ
次に、ホームセンターなどでもよく見かける「光」による対策です。
ハクビシンは夜行性で、暗闇での活動に適応した視覚を持っています。そのため、不意打ちの強い光や、ギラギラした光を非常に嫌います。その習性を利用したのが、以下のようなグッズです。
- センサーライト:ハクビシンが通ると自動で「カッ!」と点灯するライト。その不意打ちで驚かせます。ソーラー充電タイプなら電源が要らないので設置が簡単なのがメリットです。
- 青色LEDライト:青色の光はハクビシンの目を強く刺激するとされ、畑などでチカチカ点滅させているのを見かけます。
「おお、これなら効きそう!」と思いますよね? 僕も最初はそう思いました。しかし、光対策には致命的な弱点があります。
光対策の限界:「慣れ」の早さ
ハクビシンは非常に学習能力が高い動物です。 最初は突然の光に驚いて逃げ出すかもしれませんが、何度か経験するうちに、「ん? この光、点くだけで別に何もしてこないぞ…?」と学習してしまうんです。
「あの光 = 自分に危害を加えない無害なもの」と一度学習されてしまうと、もう効果はありません。報告事例によると、早いケースでは1週間程度で慣れてしまったという話も…。これでは根本的な解決は難しいですよね。
また、強力なセンサーライトや青色LEDの点滅は、ご近所さんの窓に直射して「眩しい!」と近隣トラブルの原因になる可能性もあります。設置する角度には細心の注意が必要です。
「音」の効果は?(※超音波は非推奨)
「匂い」「光」とくれば、次は「音」ですよね。「大きな音で脅かせばいいのでは?」と考えるのは自然なことです。
例えば「爆竹」のような突発的な破裂音は、確かにハクビシンを驚かせます。しかし、効果は本当にその一瞬だけ。ハクビシンが活動する真夜中に、毎日爆竹を鳴らし続けるなんて現実的ではありませんし、何より近所迷惑どころの話ではありません。
そして、一番よく質問をいただくのが「超音波装置」についてです。
市場には「ハクビシン対策!」「効果持続!」とうたった超音波装置がたくさん売られています。しかし、ここでハッキリお伝えしなければなりません。
【専門家の共通認識】超音波は効果なし
これは僕個人の意見ではなく、多くの害獣駆除の専門家が共通して指摘していることですが、ハクビシン駆除における超音波の効果は実証されていません。
理由は光と同じで、ハクビシンがその周波数にすぐに「慣れて」しまうからです。「なんか嫌な音がするな」程度では、彼らは「安全な寝床」である屋根裏を手放しません。安易なソリューションとして紹介されがちですが、根本的な解決には至らないというのが専門家の間での共通認識です。
以上の理由から、やはりハクビシン対策は「嗅覚」へのアプローチが最も合理的と言えます。
「音」対策の詳細はこちらの記事で
「いや、それでも音についてもっと詳しく知りたい!」という方のために、ハクビシンと「音」の問題(騒音被害や威嚇音)については、別の記事でガッツリまとめています。 → ハクビシンが嫌がる音とは?超音波の効果と慣れてしまう理由
プロが分析!ハクビシンが本能的に嫌がる「匂い」ベスト5
お待たせしました。では、最も効果が期待できる「匂い」について、具体的に何が効くのかを深掘りします。僕が徹底的にリサーチした結果、効果が期待できる順にランキング形式で紹介します!
【第1位】オオカミの尿(ウルフピー):最も本能に訴える匂い
栄えある第1位は「ウルフピー」、つまりオオカミの尿です。
「えっ、尿!?」と驚くかもしれませんが、これこそ「本能的恐怖」の頂点です。生態系において、オオカミはハクビシンの「天敵」にあたります。その天敵の匂いがするということは、ハクビシンにとって「すぐ近くに自分を捕食する危険なヤツがいる!」という最大の警戒信号なんです。
これは「ちょっと臭いな」というレベルではなく、「ここにいたら殺される!」という本能的な恐怖をダイレクトに与えます。
実際に、唐辛子パウダーやタバスコではまったく効果がなかったフン害が、ウルフピーを設置したことでピタッと解消された、という報告事例もあるほど、その効果は強力です。
ウルフピーの注意点(デメリット)
- 価格:天敵の尿ですから、当然ながら安くはありません。継続的に使用するにはコストがかかります。
- 持続性:匂い全般に言えますが、揮発します。特に気温が高い夏場などは、効果が1ヶ月程度に短くなる可能性も指摘されています。
- 人間への匂い:当然ですが、人間にとっても良い匂いではありません。玄関先やリビングの近くなど、居住空間に近い場所での使用には注意が必要です。
【第2位】木酢液(もくさくえき):山火事を連想させる焦げた匂い
第2位は「木酢液」です。「もくさくえき」と読みます。これは、炭を焼くときに出る煙を冷やして液体にしたもので、独特の焦げたような、燻製(くんせい)のような匂いが特徴です。
なぜこれが効くのか? それは、山林に生息するハクビシンにとって、「焦げた匂い = 火事(山火事)」を連想させるからです。
火事は、天敵からも逃げられない、広範囲に広がる「絶対的な死」を意味します。この匂いを本能的に「危険!」と察知し、その場から退避する効果が期待できるわけです。ウルフピーが「天敵の恐怖」なら、木酢液は「天災の恐怖」ですね。
- 使用方法:原液を布や綿に染み込ませて、お皿などに置いて設置します。または、希釈してスプレーボトルに入れ、侵入経路や被害場所に噴霧します。
- 注意点:これもウルフピー同様、人間にとってもかなり強烈な匂いです。また、ペット(特に犬)がいるご家庭では、嗅覚の鋭いワンちゃんがストレスを感じる可能性があるので、設置場所には配慮が必要です。
【第3位】獣除け線香:唐辛子成分を含む煙で威嚇(※火気注意)
第3位は、害獣対策用に特化して作られた「獣除け線香」です。
ここで重要なのは、「普通の蚊取り線香」ではまったく効果がないということです。あれはあくまで虫除け用。
「獣除け線香」は、唐辛子の辛味成分(カプサイシン)など、ハクビシンが嫌がる成分を意図的に含んでいます。これを焚くことで、強烈な刺激を持つ「煙」が発生し、その煙でハクビシンを威嚇し、いぶり出す効果を狙います。
【警告】火気の取り扱いには細心の注意を!
屋根裏から追い出したい場合、これを屋根裏で焚くのが一番効果的……なのですが、絶対に安易にやらないでください。
屋根裏は、ホコリや古い木材、断熱材など、燃えやすいもので溢れています。火の気がある線香を置くことは、火災の危険性と常に隣り合わせです。もし使用する場合は、不燃性の容器に入れるなど、万全の火災対策が必須です。正直、素人(僕たち)が屋根裏で火気を使うのはリスクが高すぎると感じます。
【第4位】ニンニク・唐辛子(カプサイシン):DIYでも可能な強烈な刺激
第4位は、我々の食卓にもお馴染みの「ニンニク」と「唐辛子」です。
これらは「本能的恐怖」ではなく、「刺激物」タイプの代表格ですね。あの強烈な匂いや、唐辛子の辛味成分である「カプサイシン」が、ハクビシンの鋭い嗅覚を直撃し、強烈な不快感を与えます。
最大のメリットは、安価で手軽にDIYできること。
- 設置方法:潰したニンニクや刻んだ唐辛子を、穴を開けたペットボトルやネット袋に入れ、ハクビシンの通り道(特にその鼻の高さ)に合わせて設置します。
- 庭で栽培:家庭菜園やゴミ置き場が荒らされる場合、その周辺でこれらを栽培するだけでも、一定の忌避効果が期待できます。
ただし、効果の持続時間は長くありません。匂いが消えたり、雨で流れたりすると効果がなくなるため、定期的な交換が必須です。
【第5位】ハッカ油・ミント系:持続性は低いが一定の効果
第5位は「ハッカ油(ペパーミント)」などのハーブ類です。あの清涼感のある「スーッ」とした強い匂いも、ハクビシンは嫌う傾向にあります。
しかし、これには大きな欠点があります。それは、「揮発性(きはつせい)が非常に高い」ということです。
揮発性が高いとは、簡単に言うと「すぐに匂いが飛んでしまう」ということ。スプレーしても、布に染み込ませても、効果が持続する時間は非常に短いです。正直、これ単体でハクビシンを追い出すのは困難であり、あくまで他の対策と併用するのが前提となります。
【マモル流】DIYで強力な忌避スプレーを作る方法
「市販品は高いけど、効果は高めたい!」という方のために、より強力な忌避剤を自作する方法を紹介します。これは第2位の「木酢液」と第4位の「ニンニク・唐辛子」を組み合わせたハイブリッドです。
- 用意するもの:
- 木酢液 (1L)
- 水 (1L)
- ニンニク (100g)
- 唐辛子 (100g)
- スプレー容器
- 作り方:
- ニンニクと唐辛子を細かく刻みます。(※手袋とゴーグル推奨!)
- 水と木酢液を混ぜ、そこに刻んだニンニクと唐辛子を投入してよく混ぜます。
- スプレー容器に入れ、冷暗所で2週間ほど寝かせ(発酵させ)ます。
- 使い方: 完成した強烈な液体を、ハクビシンの侵入経路や糞尿をされた場所に噴霧します。
(注意!) とんでもなく強烈な匂いになるため、噴霧する際は風向きに注意し、自分にかからないようにしてください。また、近隣の迷惑にならない場所かどうかも十分確認してくださいね。
市販の忌避剤(燻煙・固形)と「ハクビシンが嫌がるもの」の正しい使い方
さて、嫌がる匂いがわかったところで、次は「どう使うか」という実践編です。特に屋根裏に棲みつかれた場合、使い方を間違えると被害を悪化させる危険があり、ここが本当に重要です!
屋根裏には「燻煙タイプ」が即効性あり
屋根裏のような閉鎖空間からハクビシンを「今すぐ追い出したい!」という場合、最も即効性が高いのが「燻煙(くんえん)タイプ」の忌避剤です。
これは、害虫駆除で使う「バルサン」の害獣バージョンのようなもの(「害獣ニゲール」といった商品もあります)で、ハクビシンが嫌う匂いや成分を含んだ煙を屋根裏全体に充満させ、強制的に外へ追い出すために使用します。
煙なので、天井裏の隅々まで行き渡りやすいのが最大のメリットです。ただし、煙の効果はあくまで一時的なもの。匂いが消えれば戻ってきてしまうため、数週間ごとの再設置が必要になる場合もあります。
【最重要】絶対に「逃げ道」を確保してから使うこと
ここが、この記事で僕が一番声を大にして伝えたい「最重要ポイント」です。
屋根裏で燻煙剤を使うとき、焦って「先に侵入口を全部塞いでから、煙でいぶそう」と考える方がいます。ですが、それだけは絶対にやってはいけません。それは最悪の選択です。
危険!素人がやりがちな燻煙剤の失敗
想像してみてください。もしあなたが部屋にいるときに、入り口を全部塞がれた上で、強烈な催涙スプレーを撒かれたらどうしますか?
NG①:侵入口を塞いでから燻煙する ハクビシンも同じです。逃げ場を失ったハクビシンは屋根裏でパニックになり、狂ったように暴れ回ります。その結果、天井の建材を破壊したり、別の出口を探して壁や断熱材に新たな穴を開けたりと、被害がさらに拡大する可能性があります。
最悪のケースは、屋根裏から出られずにそのまま餓死・衰弱死してしまうことです。天井裏でハクビシンの死骸が腐敗したら…その後の処理(強烈な悪臭、ウジやダニの大量発生)は、想像を絶する地獄です。
NG②:燻煙して追い出すだけで終わる 「よし、煙で追い出したぞ!一件落着!」と安心してはいけません。前述のとおり、燻煙剤の効果は一時的です。ハクビシンは非常に高い帰巣本能(自分の巣に戻ろうとする本能)を持つため、匂いが消えれば「あ、安全になったな」と判断し、必ず戻ってきます。
設置場所の鉄則:「侵入口」から最も遠い場所に置く
では、どう使うのが正解なのか? 追い出し(忌避)の鉄則は「出口へと誘導する」ことです。
燻煙剤や忌避剤を置く場所は、「侵入口の近く」ではありません。逆です。
特定した侵入口(ハクビシンが出ていく出口)から、「最も遠い場所」に設置するのです。
例えば、屋根裏の「東側」に侵入口があるとします。その場合、燻煙剤は反対側の「西側(一番奥)」に設置します。そうすることで、煙や匂いは西側から東側へと充満していきます。
ハクビシンは、奥から迫ってくる嫌な煙から逃げるため、自然と「東側」の出口へと誘導されます。これが「一方通行」の追い出しです。ハクビシンをパニックにさせず、スマートに外へ退去してもらうための重要なテクニックです。
固形・ジェル・シートタイプの使い分けと持続性
燻煙タイプ以外にも、市販の忌避剤には様々な形状があり、それぞれ適した場所と持続性が異なります。屋根裏だけでなく、庭や床下など、被害場所に応じて使い分けるのがコツです。
主なタイプの特徴を表にまとめました。
| タイプ | 主な成分 | 特徴 | 適した場所 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| 燻煙タイプ | カプサイシン、木酢液など(煙) | ・即効性が高い ・閉鎖空間全体に広がる | 屋根裏、床下(閉鎖空間) | ・効果は一時的 ・火災報知器に注意 ・ペットや人間は要避難・換気 |
| 固形タイプ | カプサイシン、木タールなど | ・雨風に強く、効果が比較的持続(数ヶ月単位) ・設置が容易 | 屋外、ハクビシンの通り道、床下 | ・ペットや子供が誤飲しないよう厳重注意 |
| スプレータイプ | ハッカ油、木酢液など(液体) | ・即効性が高い ・特定の場所に直接噴霧できる | 侵入口周辺、被害直後の場所 | ・持続性が低い ・屋外では雨風で流れやすい |
| ジェルタイプ | カプサイシンなど(ジェル状) | ・壁面や配管の隙間など、垂直な場所にも塗布可能 ・持続性が高く、水に強い製品が多い | 配管の隙間、壁の亀裂、侵入口 | ・塗布場所に跡が残る可能性あり |
| シートタイプ | 激臭成分など | ・設置が容易(吊るす、貼るなど) ・製品によっては効果が約1年と非常に長く持続するタイプもある | 屋根裏、床下、物置 | ・比較的高価な場合がある |
これらの忌避剤も、あくまで「侵入させないため」の補助的な役割か、「追い出し」の補助として使うのが賢明です。これらを使ったからといって、根本的な解決にはならないことを覚えておいてください。
なぜ「嫌がるもの」だけではダメ?ハクビシン対策の重大な落とし穴
ここまで「嫌がるもの」をたくさん解説してきましたが、僕が経験者として一番お伝えしたいのは、「嫌がるものを置いただけで安心してはいけない」ということです。
「ウルフピーを置いたから、もう大丈夫だろう」 「燻煙剤を焚いたから、もう来ないだろう」
その安心が、実は一番危険なんです。一時的にいなくなっても、ほとんどの場合、ハクビシンは必ず戻ってきます。
理由1:ハクビシンの「高い学習能力」と「慣れ」
前述の通り、ハクビシンは非常に賢い動物です。匂いや光、音などの刺激に最初は驚いても、「これは自分に実害がない」と学習すると、すぐに「慣れ」てしまいます。
特に「刺激物」タイプのニンニクやハッカ油は、よほど高濃度で使い続けない限り、すぐに慣れられてしまうでしょう。「本能的恐怖」タイプのウルフピーや木酢液ですら、その匂いが薄まってきたり、ずっと同じ場所に置かれ続けたりすると、「匂いはするけど、危険はなさそうだ」と学習し、乗り越えてくる可能性があります。
理由2:安全な寝床を求める「強い帰巣本能」
ハクビシンにとって、あなたの家の屋根裏は、「雨風をしのげ、天敵(カラスや犬など)から身を守れる、最高の安全地帯(寝床)」なんです。
彼らにとって、一時的な不快感(嫌がるもの)よりも、その「安全な寝床」を確保するメリットの方がはるかに大きいのです。だからこそ、多少の匂いや光には「慣れ」てでも、その最高の寝床に戻ろうとする「強い帰巣本能」が働きます。
「嫌がるもの」を置くことは、例えるなら「自分の部屋に入ってこないで!」と張り紙をするようなもの。最初は警戒するかもしれませんが、鍵がかかっていなければ、平気で入ってきてしまいますよね。
根本解決は「追い出し」+「侵入経路の物理的封鎖」
だからこそ、ハクビシン対策は、 「嫌がるもので一時的に追い出す」 「追い出した直後に、侵入口を物理的に封鎖する(鍵をかける)」 この2つをワンセットで行わなければ、絶対に根本解決には至りません。
この「物理的封鎖」を怠れば、被害は永遠に繰り返されます。そして、侵入を放置している間に、天井裏では恐ろしいことが進行します。
- 糞尿が蓄積し、天井板を腐食させ、悪臭が室内に定着する。
- 天井のシミが広がり、修復に高額な費用がかかる。
- 断熱材が巣(寝床)にされ、ボロボロに破壊され、冬は寒く夏は暑い家になる(冷暖房効率の低下)。
- 配線やケーブルを噛まれ、漏電やショート、最悪の場合は火災につながる。
「嫌がるもの」だけで対策を終えることは、これらの深刻な二次被害を放置することと同じなのです。
まとめ:ハクビシンが嫌がるもので追い出し、即「封鎖」を!
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。ハクビシン被害の解決策は、突き詰めると非常にシンプルです。
ハクビシン対策の最適解(ゴール)
- Step1(追い出し):「嫌がるもの」(特に木酢液やウルフピー、燻煙剤)を使って、屋根裏からハクビシンに完全に退去していただきます。
- Step2(封鎖):追い出した直後、ハクビシンが侵入できる「人間の拳(こぶし)大(直径8cm~9cm)の隙間」を、例外なくすべて、「7.5cm目合い以下の金属製資材」(パンチングメタルやステンレス金網)で徹底的に塞ぎます。
この「Step2:封鎖」こそが、ハクビシン対策の「核心」であり「ゴール」です。
DIYでの封鎖は危険?(法的リスクと安全面)
「よし、わかった!追い出したら、金網で塞げばいいんだな!」と意気込む気持ち、よくわかります。ですが、この「封鎖作業」こそが、素人(僕たち)には最もハードルが高い作業なんです。
【DIY封鎖の難易度が高い理由】
- 侵入経路が多すぎる: ハクビシンは木登りが非常に得意で、体が驚くほど柔らかい動物です。「人間の拳」ほどの隙間、具体的には直径9cmほどの円や、1辺8cmほどの正方形の隙間さえあれば、平気で侵入してきます。 僕たちが「まさかこんな所から」と思うような場所が、彼らにとってはメインストリートです。
- 屋根同士が重なる隙間、瓦のズレ
- 老朽化した壁や屋根の穴
- 通風口、換気口(カバーをこじ開けることも)
- エアコンの配管導入部の隙間
- 床下の通気口
- 資材の選定ミス: 「隙間を塞げばいい」と安易に防獣ネット(プラスチック製)や発泡ウレタン、ベニヤ板などで塞ぐと、ハクビシンはそれらを簡単に食い破ったり、こじ開けたりして再侵入します。 封鎖には、彼らの突破能力を上回る強度を持つ「パンチングメタル」や「ステンレス製の金網」といった金属製の資材が必須です。その金網の目合い(網目の大きさ)も、「7.5cm以下」でないと意味がありません。
そして何より、DIYには「法律」と「安全」の大きなリスクが伴います。
【警告】DIY対策に潜む重大なリスク
- 法的リスク(鳥獣保護管理法): 腹立たしいことですが、ハクビシンは「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(鳥獣保護管理法)によって守られています。行政(自治体)の「許可なく」ハクビシンを捕獲したり、殺傷(駆除)したりすることは法律で固く禁じられています。 これに違反した場合、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」という重い罰則が科される可能性があります。(※もちろん、「嫌がるもの」を使って「追い出す」行為は、捕獲や殺傷にはあたらないため合法です) (出典:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 | e-Gov法令検索)
- 安全上のリスク(転落・怪我): 天井裏は足場が非常に不安定で、梁(はり)を踏み外して天井を踏み抜き、リビングに転落する事故のリスクがあります。また、侵入口は屋根の隙間や壁の高い位置にあることが多く、これらの封鎖作業は転落の危険を伴う「高所作業」となります。
- 健康被害のリスク(感染症): 屋根裏に溜まった糞尿は、不衛生であるだけでなく、ダニやウジ虫、ノミ、そして未知の病原菌の温床です。防護服や専用マスクなしで作業すれば、深刻な感染症やアレルギーを引き起こす危険があります。絶対に素手で触れてはいけません。
確実な再発防止と清掃・消毒は専門業者への相談が近道
「嫌がるもの」にお金を払い続ける「金銭的リスク」。対策が遅れて建物が劣化する「時間的リスク」。そして上記の「法的リスク」と「健康的リスク」。
DIYでの対策は、これら4つのリスクを全て自分で背負い込むことになります。
僕も最初は自力で何とかしようとしましたが、これらのリスク(特に法律と健康面)を知り、最終的には「これは素人が手を出せる領域じゃない」と判断し、専門の業者に調査を依頼しました。
プロに任せるメリットは、単に「面倒な作業を代行してくれる」だけではありません。
専門業者に依頼するメリット
- 徹底した調査と特定: 専門的な知識と機材(サーモカメラやファイバースコープなど)を使い、素人では絶対に見落とすような侵入経路をすべて特定してくれます。
- 確実な駆除と再発防止: 法律を遵守した安全な方法(追い出し)で、ハクビシンを確実に退去させ、前述の「適切な金属製資材」を用いて、全ての侵入経路を徹底的に封鎖してくれます。
- 危険な清掃・消毒: DIYでは最も困難な、危険を伴う糞尿の清掃、および悪臭や病原菌の元を断つための専門的な殺菌・消毒処理まで一貫して行ってくれます。
- 保証とアフターフォロー: これが最大の安心材料です。多くの信頼できる業者は、施工後に「再発保証」(例:1年、5年など)を設けています。万が一、施工後にハクビシンが再侵入した場合でも、無償で対応してもらえるため、「高いお金を払ったのに、また出た…」という最悪の事態を防げます。
もちろん費用はかかります。追い出し、封鎖、清掃・消毒まで含めた総額の相場は、目安として「6万円~7万円前後」からとなることが多いですが、これは被害状況や施工面積、侵入口の数、糞尿の量によって大きく変動します。
ですが、「効果のない忌避剤を買い続ける費用」や「家の資産価値が下がっていく損失」、そして「何より家族が安心して眠れないストレス」を考えれば、根本的な解決と安心を買うための投資として、僕は専門業者への相談が最適解だと考えています。
「嫌がるもの」で追い出す作業は、あくまで対策の「第一歩」。その先の「完全な封鎖と清掃・消毒」、そして「未来の安心(保証)」まで見据えて、あなたにとって最善の選択をしてくださいね。応援しています!